日本語と共通点の多い韓国語ですが、韓国語を学ぶ上で一番の難関は発音の難しさだと思います。
韓国語は単語の次に来る文字で発音が変化してしまうものがあります。しかしその変化には一定のルールがあります。
こちらの記事ではそのような発音変化のルールをより分かりやすく、また覚えやすく解説します。
ですが始めから全部を覚える必要はありません。
一つ一つ確認しながら、また単語を学びながら疑問に思った時点でもう一度見直しながら覚えていきましょう。
音声もありますので、発音をチェックしながら繰り返し練習しましょう。そして繰り返し練習していけば、自然に発音できるようになります。
少し難しいと思うかも知れませんが、分かるように詳しく解説していきますので頑張りましょうね!
1.有声音化
まずは有声音化です。
有声音化とは単語の次に来る文字で濁音(日本語の点 例:は→ば)がつく発音になる、濁った発音に変化するということです。
韓国語の有声音化のルールは
👉ここで見落としがちなのは“パッチムのない文字”も有声音化するということです
では例で確認していきましょう。
例)
- 도깨비 (鬼)→トッケビ
- 갈비 (カルビ)→ カㇽビ
- 부부 (夫婦)→ プブ
- 감자 (ジャガイモ)→ カㇺジャ
発音変化は単語だけでなく文中でも同じように変化します。
次の例文のようになります。
例文)
- 뭘 봐요?(なに見てるんですか。)→ ムォㇽバヨ?
- 어디 가?(どこ行くの。)→ オディガ?
- 안 되요.(だめです。)→ アンデヨ。
このようにルールがありますが日本語のルールと全く同じではありません。会話の発音をよく聞きながら覚えていくといいでしょう。
2.連音化(リエゾン)
続いては連音化です。
連音化とはリエゾンのことで、以前にも説明しましたが、パッチムの後に母音がくると前の単語のパッチムの子音と次の文字の母音(ㅇ )がひとつの音になって発音されるということです。
解説)
連音化はパッチムが1つの場合と2つの場合で少し違ってきます。
①パッチムが1つの場合の連音化
パッチムが次に来るㅇ(이응)と一つとなって発音される。
- 먹어요(食べます)→머거요 と発音する(文字1つずつ読むと“モㇰオヨ”になるが→連音化して“モゴヨ”になる。)
- 할아버지(おじいさん)→하라버지と発音する( 文字1つずつ読むと“ハㇽアボジ”だが → 連音化して“ハラボジ”。)
- 연예인(芸能人)→여녜인と発音する(文字1つずつ読むと“ヨンエイン”だが →連音化して“ヨネイン”)
リエゾンについては「パッチムの発音のコツ」のところでも解説していますので、詳しく知りたい方はそちらも参考にしてください。
②ダブルパッチムの場合の連音化
ダブルパッチムの場合、リエゾンはパッチムの左側はそのまま発音。右側のパッチムは母音と結合します。
- 앉으세요(座ってください)→안즈세요(アンジュセヨ)と発音
- 읽었어요(読みました)→일거써요(イルゴッソヨ)と発音
- 삶은 감자(煮たじゃがいも)→살믄 감자(サㇽムンカㇺジャ)と発音
ここで注意する点について説明します。
パッチムがㅇで次にくる子音がㅇの場合はリエゾンしません。そのまま読みましょう。
例)
- 장어(うなぎ)→ ジャンオ
- 강의(講義)→ カンウィ
- 종이(紙)→ ジョンイ
ㅎパッチムの後に母音ㅇ(이응)がくるとㅎパッチムは発音しません。ㅎがとれてしまいます。
例)
- 좋아요(好きです)→ 조아요(チョアヨ)と発音
- 많이(たくさん)→ 마니(マニ)と発音
- 않아요(じゃない)→아나요(アナヨ)と発音
3.激音化
パッチムの子音がㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅈの後の文字にㅎがくるとパッチムが合体し激音化ます。
つまりㄱはㅋ、ㄷはㅌ、ㅂはㅍ、ㅈはㅊの発音になるということです。
例で確認していきましょう。
例)
- 음악회(音楽会)→ 으마쾨(ウマッケ)と発音(ㄱがㅋに変化している。)
- 입학(入学)→ 이팍(イパク)と発音(ㅂがにㅍ変化している。)
- 많다(多い)→ 만타(マンタ)と発音(ㄷがㅌに変化している。)
- 싫다(嫌だ)→ 실타(シㇽタ)と発音(ㄷがㅌに変化している。)
4.濃音化
次は濃音化です。濃音化は少し複雑ですが基本は4種類あります。
例外的な濃音化もありますが全部覚えるのは大変です。例外的な濃音化はこんなものもあったという感じで少しずつ覚えていけたらいいと思います。
濃音化の基本(パッチムがㄱ,ㄷ,ㅂの後に⇒ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅈ)
例で確認していきましょう。
例文)
- 책상(机)→책쌍(チェㇰッサン)と発音(ㅅがㅆに変化している。)
- 학교(学校)→학꾜(ハッキョ)と発音(ㄱがㄲに変化している。)
- 식당(食堂)→식땅(シㇰッタン)と発音(ㄷがㄸに変化している。)
続いて濃音化の例外があるのでそちらを説明します。
濃音化の例外
濃音化の例外1
漢字語のㄹパッチムの後にㄷ,ㅅ,ㅈがくると濃音化します。
例)
- 결정(決定) →결쩡(キョㇽッチョン)と発音(ㅈがㅉに変化している。)
- 발전(発生) →발쩐(パㇽッセン)と発音(ㅈがㅉに変化している。)
- 출장(出発) →출짱(チュㇽッジャン)と発音(ㅈがㅉに変化している。)
濃音化の例外2
語幹がㄴ, ㅁの音で終わる場合、その後にㄱ, ㄷ, ㅅ, ㅈがくると濃音化します。
例)
- 앉다(座る)→안따(アンッタ)と発音(ㄷがㄸに変化している。)
- 신고(履いて)→신꼬(シンッコ)と発音(ㄱがㄲに変化している。)
濃音化の例外3
合成語や複合語で、前の単語のパッチムがㄴ, ㄹ, ㅁ, ㅇの音の場合、その後にㄱ, ㄷ, ㅂ, ㅅ, ㅈが続くと濃音化します。
例)
- 손가락(指)→손까락(ソンッカラㇰ)と発音(ㄱがㄲに変化している。
손+가락) - 발바닥(足の裏)→발빠닥(パㇽッパダク)と発音(ㅂがㅃに変化している。발+바닥)
- 된장국(味噌汁)→된장꾹(トェンジャンックㇰ)と発音(ㄱがㄲに変化している。된장+국)
濃音化の例外4
漢字語の中に接尾辞的な要素(点、的、性など)が入っている場合は濃音化します。
例)
- 가능성(可能性)→가능썽(カヌンッソン)と発音(ㅅがㅆに変化している。)
- 약점(弱点)→약쩜(ヤㇰッジョㇺ)と発音(ㅈがㅉに変化している。)
- 과학적(科学的)→과학쩍(クァハㇰッチョㇰ)と発音(ㅈがㅉに変化している。)
濃音化の例外5
「~のもの」という意味での것や거は濃音化します。
例)
-
- 내 거(私のもの)→내꺼(ネッコ)と発音(ㄱがㄲに変化している。)
- 엄마 것(お母さんのもの)→엄마껏(オンマッコッ)と発音(ㄱがㄲに変化している。)
濃音化の例外6
未来形を表すㄹの後にㄱ, ㄷ, ㅂ, ㅅ, ㅈがくると濃音化します。
例)
- 할 게요(します)→할께요(ハㇽッケヨ)と発音(ㄱがㄲに変化している。)
- 갈 데(行く所)→갈떼 (カㇽッテ)と発音(ㄷがㄸに変化している。)
ちょと難しかったですね。全部覚える必要はなく、どうしてそうなるのかと疑問に思えた時に確認し理解していきましょう。
5.流音化
続いては流音化です。これはㄴの前後にㄹがあると、ㄴがㄹの発音になります。前だけでなく後ろにつく場合も流音化するということです。
例で確認していきましょう。
例)
- 설날(正月)→설랄(ソㇽラㇽ)と発音(後の子音ㄴがㄹに変化している。)
- 연락(連絡)→열락(ヨㇽラㇰ)と発音(前のパッチムㄴがㄹに変化している。)
- 진료(診療)→질료(チㇽリョ)と発音(前のパッチムㄴがㄹに変化している。)
- 칼날(刀)→칼랄(カㇽラㇽ)と発音(後の子音ㄴがㄹに変化している。)
6.鼻音化
続いて鼻音化です。これもまたちょっと複雑で分かりにくいかもしれません。
3つに分かれているので順に解説しますね。
鼻音化1
ㄱ,ㄷ,ㅂのパッチムの後にㄴ,ㅁの子音がくると、パッチムの発音がそれぞれㅇ,ㄴ,ㅁになって鼻音化する。
例文で確認していきましょう。
例)
- 십년(新年)→심년(シンニョン)と発音(ㅂがㅁに変化している。)
- 식물(植物)→싱물(シンムㇽ)と発音(ㄱがㅇに変化している。)
- 국민(国民)→궁민(クンミン)と発音(ㄱがㅇに変化している。)
鼻音化2
ㅁ,ㅇのパッチムの後にㄹの子音がくると、後の子音がㄴになって鼻音化する。
例文で確認していきましょう。
例)
- 심리(心理)→심니(シㇺニ)と発音(ㄹがㄴに変化している。)
- 종류(種類)→종뉴(ジョンニュ)と発音(ㄹがㄴに変化している。)
鼻音化3
ㄱ, ㄷ, ㅂのパッチムの後にㄹの子音がくると、パッチムがそれぞれㅇ, ㄴ, ㅁになり、後ろの子音がㄴになって鼻音化する。
例)
- 식량(食料)→싱냥(シンニャン)と発音(パッチムㄱがㅇに変化、子音ㄹがㄴに変化している。)
- 입력(入力)→임녁(イㇺニョㇰ)と発音(パッチムㅂがㅁに変化、子音ㄹがㄴ変化している。)
さあ、もうひと踏ん張りです!
7.ㄴ挿入(添加)
ㄴ挿入はパッチムで終わった単語の後に、야, 여, 요, 유, 이,が続くときㅇにㄴが挿入されて냐, 녀, 뇨, 뉴, 니になるということです。
例)
- 부산역(プサン駅)→부산녁(プサンニョク)と発音
- 그럼요(そうです)→그럼뇨(クロムニョ)と発音
- 깻잎(ゴマの葉)→깬닢(ッケン二プ)と発音
- 두통약(頭痛薬)→두통냑(トゥトンニャㇰ)と発音
私は韓国語を耳から覚えました。それでこの「부산역」と「깻잎」がなぜこのような発音になるのか最初は本当に疑問に思いました。このような発音変化のルールを全く知らなかったからですね。
8.口蓋音化
続いて口蓋音化です。ㅈ,ㅊへの発音の変化のこと
を言います。ㄷ, ㅌ, ㄾのパッチムのあとに이がくるとㅈ,ㅊ,ㄹㅊの発音になります。
例)
- 붙이다(付ける)→부치다(プチダ)と発音
- 굳이(敢えて)→구지(クジ)と発音
- 햇볕이(日差しが)→햇벼치(ヘッビョチ)と発音
- 끝이다(終わりだ)→끄치다(クチダ)と発音
9.ㅎの発音の変化
ㅎはいろいろな変化をします。3つあるのでそれぞれ説明します。だいたいのところを理解できたらいいでしょう。
ㅎの弱音化1
ㄴ,ㄹ,ㅁ,ㅇや母音の後のㅎはㄴ,ㄹ,ㅁ,ㅇや母音と一つになり弱音化します。ㅎが弱くなるということですね。
例)
- 은행(銀行)→으냉(ウネン)と発音
- 결혼(結婚)→겨론(キョロン)と発音
- 전혀(全く)→저녀(チョニョ)と発音
ㅎの無音化2
こちらはさきほどの“連音化”のところで説明しました。それと同じですね。ㅎの後に母音がくるとㅎは発音されません。無音化するということです。
例)
- 좋아요(いいです)→조아요(チョアヨ)と発音
- 싫어요(嫌です)→시러요(シロヨ)と発音
- 낳았어요(産みました)→나아써요(ナアッソヨ)と発音
ㅎの鼻音化3
パッチムㅎの後にㄴがくるとパッチムㅎはㄴで発音され鼻音化します。
例)
- 놓는(置く)→논는(ノンヌン)と発音
- 낳는(生む)→난는(ナンヌン)と発音
- 쌓는(積む)→싼는(ッサンヌン)と発音
発音変化のルールまとめ
お疲れさまでした。よく最後まで頑張りましたね!!대단해요!
韓国語の発音のルールは少し難易度が高いですね。
私は“リスニング”から始めたのでなぜそうなるのかと疑問に思うよりも、分からないまま発音を覚えてしまったのでかえって優しかったのかも知れません。始めから勉強して覚えようとする皆さんの方が立派です!!
このように複雑なので覚えるのも一苦労ですね。韓国語を学ぶ途中でなぜこんな発音なのかと疑問に思った時点で、解説を見て確認し覚えていきましょう。完璧を求めず継続していくことが大切です。
コメント